経済ブログ

経済について書いていきたいと思います。コメントを歓迎します。 

元本保証はありえるのか?

 元本保証とは、投資した元本が減ることがないことを保証すること。元本保証といってまず思い浮かぶのは、銀行の普通預金。しかし銀行が倒産した場合は、1000万円までしか保証されないので、1000万円以上は元本保証ではない(当座預金や決済用預金は全額補償)。

 次に思い浮かぶのは、先進国の国債。こちらも確率が低いにせよ、国がデフォルトを起こすこともあり得る。投資信託は、基準価格の下落があるので元本保証とは言えない。しかし、証券投資の決済口座として公社債を中心に運用する投資信託MRFは、安全性が高く、個人が株や投資信託を現金化した後の一時的な資金の置き場で、日本では元本割れを起こしたことがない。そして、今年の12月から、元本割れが起きた場合、システムを通じた解約などができず、すぐにお金を引き出すことが難しいという理由から、損失が出た場合、運用会社などが例外的に損失補填できるようにする改正案が施行される。これが一番元本保証に近いかもしれない。

 ちなみにこれらの現在の利率を見てみると、普通預金で年利で約0.02~0.05%、10年定期で0.3%前後。日本の個人向け国債が、10年変動で0.37%、3年固定で0.06%。MRFは0.04%前後が多いようだ。預金もMRFも各社様々で、この数字は常に変動している。やはり安全とされる資産の利率は相当に低い。

麻生太郎氏の日本の借金に関する講演

 麻生氏の日本の借金に関する2010年の講演 

 http://logmi.jp/14626

 要約すると、日本の借金は、日本国民からしているので問題ないということ。

 これに関する私の意見は、そんなことはないだろう。日本政府は国債を大量に発行している。これを日本人(日本の金融機関)が94%(2010年)買っているので、そのような発言になったと思われるが、今後も買い続ける保証はない。

 また、現在は、日銀が異次元の金融緩和をし買い支えているが、それをさらに続けると、更なる円安、インフレになりかねず、過度のインフレは国民にとって負担だ。麻生氏の考え方は、日本銀行の異次元の金融緩和によりインフレを起こし、円の価値を下落させ、日本政府の借金を減らそうといこと。つまり、円の価値の減少とは、国民の預金の価値を減らすこと。国民に犠牲を強いて、国の借金を減らす考え方のようだ。 

 

ECBは先進国で初のマイナス金利を採用

 先日のECB理事会で、マイナス金利や企業への融資促進策など、大規模な金融緩和策が決定された。

 今回金利を-0.1%にしたのは、下限金利である中銀預入金利。中銀預入金利とは、民間銀行がECBに預けた余剰資金に適用される金利。この金利がマイナスとなったことで、銀行は通常なら受け取れる金利分を、逆に徴収される。このため、銀行が金利負担を嫌って資金を融資に回し、市場金利も低下する効果が期待されている。政策金利は0.25%から0.15%へ、上限金利の限界貸出金利は0.75%から0.4%に 引き下げられた。

 今回ECBが大きく利下げをした背景には、ユーロ圏でのデフレや経済低迷への危機感があったようだ。これを防ぐためにさらに、ドラギECB総裁は「資産担保証券ABS)の買い入れの準備を加速させる」と語った。

 この利下げは、先月5月8日のECB理事会で示唆されており、その直後から、ユーロ/ドルは1.399付近から1.35付近へ、ユーロ/円は142.3付近から138.6付近へ大きく下落した。

  一昨日の利下げ決定直後は大きく下落したものの、すぐに買い戻され、発表前の水準をやや上回った。一旦売りポジションを手じまう動きが出たようだ。

今、アメリカで売れている経済本

 フランス人経済学者、トマ・ピケティ氏の新著「21世紀の資本論」がアメリカで売れているらしい。内容は、米国繁栄の礎である資本主義に対する懐疑的な見方である。「資本収益率(株式や不動産といった資本の投資利回り)が国民経済の成長率を上回る構図にあるため、富が一部に集中して、社会の格差は拡大する運命にある」と資本主義の将来を悲観的に分析した。そして、過去200年以上のデータを用いて、「所得と富の分配史」を統計的にひもとき、資本主義は権力者が利潤配分の仕組みを利己的に決める弊害が内在していると述べている。

 米国の場合、格差は産業革命を機に拡大し、1910年は上位10%の富裕層が全体の富の80%を保有していた。2回の世界大戦を経て、その比率は60%に減るが、2010年には70%まで再び上昇した。相続税制の抜け穴が利用されて、事実上の世襲制が復活し、金融資本主義が政治と結びつくことで、経済成長率以上に資本家が富んだとしている。

 アメリカで何故売れたのかというと、最高のタイミングで、最も話題となっているテーマを取り上げたからのようだ。格差の問題は特に米国で、少し前からホットな話題として急浮上していた。米国人はこれまで何年も格差に関してはあまり関心がなかったようだが、ここへきて突然、ウォール街が過剰に富を得ていることに怒りが爆発、富裕層と富の再分配の在り方を問題にし始めたところだった。ピケティ氏は、富の集中は資本主義の本質であり、先進的解決策として、全世界で富に課税すべきだと説いている。

すき家の大量閉店

 すき屋の多くの店が閉店中だ。理由は人手不足と言われている。ワンオペといわれる深夜帯での一人での営業や、鍋などの新メニューにかかる負担が大きく増え、バイトなどが大量に止めた。しかも、仕事の量が多すぎると広まり、新規採用も思うように集まらないようだ。

 すき屋を運営するゼンジョーHDは、人件費を極端に抑え利益率を高め成長してきた。しかし、人件費の削減は、社員やバイトに過度な負担を押し付けることになり、今回のような結果を生んだ。この事態を受け、社長は「現場とトップの距離を縮め、意思疎通を図っていきたい」と反省の弁を述べた。現場無視の経営の暴走が、今回の事態を生んだようだ。

 すき屋は、弁護士による第三者委員会を設置し労働環境の改善をはかるという。また、ワタミは、26年度中に60店舗を閉鎖して1店舗当たりの従業員数を増やす施策を発表した。人材確保に向け、パートやアルバイトを正社員化する動きや、労働環境を改善する動きが他の外食企業にもででてきている。安く人を使い、利益を上げて来た一部の外食企業の成長モデルが、曲がり角に来ているのは間違いない。

日本銀行の懸念

 黒田日銀総裁は先日の講演で、「日本経済が中長期的に成長するためには供給力の拡大が重要。」と発言し、成長戦略の重要性を強調した。

 日銀はこれまで、需給ギャップが大きくマイナス(供給過多)なことが主な要因で起こっていたデフレからの脱却、経済の活性化をめざし、大規模な金融緩和を行って来た。その結果、需給ギャップは解消され、物価は上昇し経済も上向いてきた。そうすると今度は、供給(生産)側に、人手不足という問題が出てきた。供給が伸びず需要が伸びていくと、物価上昇の圧力は増す。しかし、物価は上昇するが、経済が成長しない、企業の利益が伸びない、給料が増えないとなると、国民にとっては大きなマイナスだ。日銀は、このスタグフレーションの状態になることを懸念している。

 日銀は、大規模な金融緩和によりデフレから脱却することには成功しつつあるようだが、今度は、人手不足という供給側の問題が表面してきた。この問題は、日本の根本的な問題である少子高齢化が原因である。この問題を解決するために、日本政府は全力を尽くす必要がある。

インフレ、デフレと景気

 一般的には、インフレになると、企業の利益が増え、それが労働者の給料に反映され、消費が拡大し、経済が活性化、さらに企業の利益が増えるという好循環になる。

 デフレになるとその反対で、企業の利益が減り、そして労働者の給料も減り、消費が落ち込み、経済が減退し、さらに企業の利益が減る悪循環に陥る可能性が高くなる。